僕なりにフィルムのライカを薦めてみるよ。
学生時代はご多分に漏れず、ライカなんてお金のあるオジさんが趣味で買う物だと思ってた。
大学を卒業すると、なんだか大きな一眼レフを担いで撮影しに行くというより、TC-1とかで路上スナップというスタイルに変化してった。スナップにはまってくうちに、ライカに興味を持ち始めた。
順序としては木村伊兵衛の写真集から入って、アンリカリティエって順番。この辺りの写真集を見始めると、ライカさえあれば自分もあんな写真が撮れるんじゃないかと思い始める。実際、ライカを手に入れても、僕には撮れませんけど。
で、次からが十数年に及ぶ僕の思考プロセス。
最初はM3がやっぱり欲しくなった。
でも、露出計があったほうが良いかと思い始めM6が欲しくなる。
お金が無くって、M5なら買えるんじゃないかって気がしてくる。
けど、大きいと持ち歩かないのでは?そもそも一眼でよくね?とか思い始める。
でもやっぱりM型が欲しいと思い、よく使う画角を考えはじめる。
50mmをよく使うからM3と思いつつ、35mmで撮りたいときもあるだろう?と考えはじめ、M2か?とか思い始める。
M2を物色始めると、どうせなら誕生年のライカが欲しいなと思い、「M4だ!」となるんだけど、ブラックペイントの年だと知り、生まれを呪う。
いや、M5も併売してるじゃんと思い、そうだ、自分は追針式露出計が好きだったから、M5だろ!と思うも、手に持つとこの微妙な大きさに、うーん。M4・・・と思う。
M4こそ完成形・・・。しかし、程度のいいものは20万近い。じゃ、BESSAやIKONはどうよって思うのだけど、先輩にどうせライカ買う羽目になるから、無駄遣いじゃんとか、言われる。で、そうこう悩んでいるうちに製造中止に。
ところで、ここまでで10年以上悩んでいる。
就職してある程度蓄えもでき、悩んでいるより買うしか無いなと決意する。
その時、カナダ製というだけで不人気のM4-2やM4-Pってどうなのよ?って思い始める。
おお、熟れた値段。別にセルフタイマーなんていらないし、手に取ると作りが悪いとかって感じはしない。むしろどこが作りが悪いのか?
28mmを使うようになっていたので、28mmのブライトフレームを持つM4-Pって良いじゃないか。ボディーが安い分、レンズにお金を回せるんじゃないか?だいたい、その写りの善し悪しはほとんどがレンズだろう?とか思う。
黒ボディーもかっこいいし。しかも、黒ボディーでさえあれば、妻には識別はできないことは確認済みだ。
時間が経つほどに状態の良いカメラは減るんだから、とっとと買って写真を撮るべきではないか?新品のM-Aだとかは、買えないんだから。
実に15年以上、悩んだ末に買ったのが中古、オーバーホール済みのM4-P。
手にした感想は、おお!これがあこがれのM4-Pとな。
フィルム入れにくいですね。ああ、露出計もついてなければ、ISOの設定ダイヤルもないのねとか、実際手にすると改めていろいろ気がつく。
最初はなんか、FE2の方が便利よねって思うけど、次第に手になじんでくるとこのサイズがちょうど良い。
小型といっても、レンズや軍艦部分のせいでFE2はM4-Pよりでかい感じ。
もちろんM4-PはTC-1やGR1より大きいのだけど、レンズが交換できるんだよね。それにAFが迷ってシャッタータイミングがってことも無いし。
このフルマニュアルっぷりが死ぬまで使えそうで実に良い。ああ、なんでもっと早く購入しなかったんだろう。
フィルムのM型ライカに興味を持つ人が、今どれだけいるか分からないけど、悩むなら使ってみて。
そしてしばらく使ってみて。
体に合わなくても大丈夫。ほぼ、買ったときの値段で売れるから。
ちょっと安く売るハメになっても、そこはレンタル料ってことで。
場合によっては、買った値段より高く売れるかも。悩むならまずは使ってみよう。
ほーら、だんだん欲しくなる。